【CEOストーリー】EBIT パク・ヨンハン代表 「AIの未来はデータ検証にある」

Daily Economy
2026-03-06

203103_129807_5736人工知能(AI)技術は飛躍的な進歩を遂げ、世界中の産業地図を塗り替えつつある。しかし、その華やかな技術の裏側で、AIが実際に何を学習し、その成果物がどのように検証されているのかについて、深い洞察を持つ人は多くない。オフィスで会ったEBITのパク・ヨンハン代表は、自らをAIを教える「トレーナー」であり、システムの安全性と信頼性を保証する「監査人」だと定義し、AI時代に対する明確なビジョンを示した。

金融の専門家からグローバルAIデータパートナーへ

パク代表の歩みは、一般的なIT起業家とはやや趣を異にする。もともと米国ボストン・カレッジで経営学と経済学を専攻した金融の専門家だった彼は、約7年前、株式コミュニティ事業を目標に「EBIT」法人を設立し、起業の最前線に飛び込んだ。最初の事業は市場の高い壁を実感する形で失敗に終わったが、それはむしろ、その後の大きな機会につながる足がかりとなった。

米国留学時代に築いた人的ネットワークを通じて、世界的なAIデータ分野のリーディング企業であるScale AIのアジアパートナーとして参画する機会を得たのである。これを転機に、EBITは単なるスタートアップを超え、現在では売上のほぼすべてが海外で生み出される、徹底したグローバル志向の企業へと変貌を遂げた。

いまEBITは、OpenAIのChatGPTやGoogleのGeminiといったグローバル・ビッグテック企業が総力を挙げて開発しているAIモデル向けに、学習データを精緻に加工し、検証する中核的な役割を担っている。

パク代表は、「AIは人間の業務を自動化するために誕生したが、逆説的にその土台を築く過程には、想像を超えるレベルの人的資源が投入される」と語り、EBITを巨大な人工知能ピラミッドを築き上げる「データ専門家集団」だと表現する。

単純なラベリングを超える「高付加価値データエンジニアリング」

一般に「データラベリング」と聞くと、画像の中の物体にボックスを描いたり、単純な反復分類を行ったりする低熟練労働を思い浮かべがちだ。しかし、パク代表が率いるプロジェクトは、そのイメージとはまったく異なる。EBITの現場には、一般的な作業者ではなく、ソフトウェア開発者、数学修士、言語の専門家など、高学歴の専門人材が数多く投入されている。

彼らが担う業務は単純な反復作業ではない。AIに数学的推論能力を付与したり、高度なコーディングロジックを学習させたりする高付加価値のデータエンジニアリングである。専門知識が不可欠であるだけに、EBITは熟練した開発者に業界最高水準の待遇を提供しながら、データの品質を厳格に管理している。

パク代表は、「データはAIの品質を決定する唯一無二の核心要素だ」と強調する。半導体や電力がAI産業の外形的な成長を支えるインフラだとすれば、データはAIの「知能」そのものを形づくる本質だという考えだ。

AIのハルシネーションを解決する鍵、「人間による精密な検証」

近年、生成AIの最大の弱点として指摘される「ハルシネーション(Hallucination)」現象についても、パク代表は非常に鋭い診断を示す。彼は、ハルシネーションの本質を最終的には「データの誤り」と「検証の不在」にあると規定する。

AIモデルは、結果を導き出すまでの内部因果関係を人間が完全に把握しにくい「ブラックボックス」構造を持つ。そのため、起こり得る数万通りのシナリオを人間の専門家が直接テストし、その結果を一つひとつ記録しながら信頼性を検証する過程なしには、決して完成し得ないというのが彼の論理だ。

パク代表は、こうした流れの中で、将来的にデータ専門企業が資本市場における「会計士」のような地位を持つようになると予測する。上場企業が財務諸表の透明性のために外部監査を受けるように、企業が導入するAIサービスについても、社会的に有害ではないか、個人情報流出のリスクはないかを、専門家集団が厳格に保証する時代が来るという分析である。

結局のところ、「人間のフィードバックに基づく強化学習(RLHF)」は、モデルの応答を人間の価値観や期待値に合致するよう調整することで、技術に社会的信頼を付与する中核工程として位置付けられるようになる。

グローバル市場での成果とEBITならではの独自競争力

EBITは設立以来、短期間のうちにグローバルデータ市場で目覚ましい成果を上げてきた。大規模な多言語データ構築プロジェクトはもちろん、次世代AIエージェント向けのコーディングデータプロジェクトも成功裏に完遂し、グローバル・ビッグテック企業にとって信頼できるパートナーとしての地位を確立している。パク代表は、EBITの差別化された競争力として、三つの要素を挙げる。

第一に、グローバル最前線の品質基準を直接経験しながら蓄積してきた運営ノウハウだ。第二に、プロジェクト単位で断片化しやすい人材構造をプラットフォーム化し、熟練したAIトレーナーが継続的にキャリアを築きながら専門性を高度化できるエコシステムを構築した点である。最後に、顧客企業が開発しようとするモデルの特性に合わせて、ガイドライン設計から最終検収まで全工程を密着支援するカスタムソリューション能力である。

韓国は世界でもっとも魅力的なAI戦略拠点

パク代表は、グローバル市場の観点から韓国AI産業の潜在力を非常に高く評価している。莫大な資本力を持つ米国と中国を除けば、韓国ほど完璧なAIインフラを備えた国は珍しい、というのが彼の持論だ。韓国は、半導体製造能力から高度に熟練したデータ人材、安定したエネルギー供給網、超高速通信網まで、すべてを自国内で確保できる数少ない国の一つである。

とりわけ、半導体生産に不可欠な清浄水と安定した電力網のインフラは世界最高水準にあり、韓国人特有の緻密さと責任感は、データ品質を飛躍的に高める中核資産になる。

EBITは、こうした韓国の強みを世界へ拡張するため、シンガポールと日本に法人を設立し、アジア全域の人材を戦略的に管理している。各国の文化的背景や言語的特性を考慮しながら最適なデータ成果物を導き出すことが、EBITならではの戦略資産となっている。

データの上に築かれる、人類とAIの共生の未来

パク代表は組織運営において、単に知識が豊富な人材よりも、複雑な問題の本質を定義し、それを解決するための具体的な実行策を設計できる人材を重視する。「仕事のための仕事」を大胆に取り除き、効率性を最大化するという彼の哲学は、EBITが少数精鋭でありながらグローバル市場で強いインパクトを発揮してきた原動力となった。

彼の最終目標は、単なるデータ供給会社を超え、AIモデルが世の中に出るまでに必要なあらゆるデータインフラを設計・運営する「グローバルデータソリューション企業」へと飛躍することである。

あらゆるものが自動化される時代になればなるほど、そのシステムの根幹をなすデータは、最も信頼できる人間の知能に根ざしていなければならない。AI時代において「データの専門家」といえば真っ先にEBITの名が挙がる存在になること, それがパク・ヨンハン代表の変わらぬ信念であり、その抱負はいまや具体的な現実として近づいている。